先日、シシデザインのプロモーション用チラシを刷新しました。
せっかくなので、これまでとは異なる特殊紙に印刷してみたくなり、印刷実験も兼ねて、別の印刷会社さんにお願いすることにしました。
1. スミノセじゃない!?
刷り上がったチラシを手に取った瞬間、わずかな違和感が。
「あれ、文字がスミノセになっていないかも・・?」
ルーペで確認すると、やはり予感は的中。
スミノセ(K版のオーバープリント)処理を想定していた文字が、すべて抜き合わせ(ノックアウト)になっていました。
いつもであれば、新しく取引する印刷会社さんにはK100%の処理について事前確認を行います。
けれど最近は自動でオーバープリント処理を行う会社も多く、今回はその確認を怠ってしまったのが原因でした。
慌てて印刷会社さんに確認すると、やはり「データの設定通り」に印刷進行するとのこと。つまり、自動的にオーバープリント処理をすることはなかったのでした。
その結果、今回のチラシではK100%がスミノセにならず、「抜き合わせ(ノックアウト)」の状態で仕上がっていました。。
2. なぜ「K100%+スミノセ」にこだわるのか
ところで、なぜこれほどまでにスミノセにこだわるのか・・。
そもそも、「本文などの小さな文字」には、「墨=K100%」が向いています。
CMYKの4色掛け合わせで小さな文字を作ってしまうと、インクが滲んだり、印刷時のわずかな版のズレ(見当ズレ)によって文字がブレたりして、読みにくくなる可能性があるからです。
さらに、色のある背景の上にK100%の小さな文字を乗せる場合は、「ノセ(オーバープリント)」という処理が不可欠です。
これを「抜き合わせ(ノックアウト)」で印刷すると、わずかな見当ズレであっても、版がズレた隙間から「紙の白」が見えてしまうから。
特に小さな文字では、このわずかな白がチカチカとしたノイズになり、可読性を下げてしまいます。
そのため、小さな文字は「墨=K100%」かつ「スミノセ」が鉄則だと考えています。

3. 「自動処理」は当たり前ではない
多くのネット印刷では、(おそらく初心者の入稿ミスを防ぐために)「K100%は自動でオーバープリント処理する」という設定になっています。私自身も、いつしか「それが業界の標準だろう」と思い込んでいました。
しかし、今回お世話になった印刷会社さんに技術的な仕様を確認したところ、「入稿データ通り(デフォルトはK100%であってもノックアウト)」とのことでした。
つまり、データ上で意図的にオーバープリント設定をしていない限り、K100%は「ノックアウト」で処理される(小さな文字は見当ズレのリスクがある)という仕様だったのです。
4. 「データ通り」に刷る、印刷会社のポリシー
なぜ、見当ズレのリスクがあるのに自動処理をしないのか。
そこには、「制作者の意図を最大限尊重する」という印刷会社側のスタンスがあるのだと思います。
オーバープリントすることのリスク
背景が写真や濃淡のある色味の場合、K100%をオーバープリントにすると背景が透けて見える場合があります。
ロゴや大きな見出しなどでは、自動でオーバープリントにされることこそが印刷事故につながります。

背景の影響を受けない「パキッとした黒」を表現したい場合には、リッチブラックにすることも検討すべし!

また、「データどおり」に印刷するというのは、しごく当たり前のことでもあります。
制作者が意図して作ったデータを、システムが勝手に書き換えてしまわないよう、「余計なことはしない」というポリシーなのだともいえます。
「自動オーバープリント=親切」なのではなく、「制作者の意図をどこまで尊重するか」というスタンスの違いなのだと再認識しました。
5. まとめ:事前確認が大事!
今回の件で、「自分の常識を常識だと思い込まないこと」の大切さを改めて痛感しました。
- 新しい印刷会社を利用する際は、FAQで「K=100%」の取り扱いを必ず確認する。記載がない場合は、事前に問い合わせて確認する。
- 可読性を守りたい小さな文字には、オブジェクトごとに「塗りをオーバープリント」に設定しておく。
自所の印刷物は、お客さまにご提案したり、失敗を無くすための印刷実験の機会でもあると考えています。
初めての印刷会社さんの場合には、お客さまの大切な印刷物をお願いする前に、必ず試し刷りを兼ねて自所の印刷物を通します。
失敗も経験として蓄積されることで、お客さまへの有益なご提案につながれば・・と考えています。
今回もまさにそのケース。
たかがK100%といえど、あなどれませんネ。




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