つい先日、大変ショッキングなニュースが飛び込んできました。
「デザイン業」の倒産件数が過去最悪のペースで推移しているというのです。(東京商工リサーチ公表データに基づく)
もうずいぶんと前から、いずれデザイナーという職業は不要になるんだろうな、と思ってはいたものの、生成AIなどの便利なツールが次々と台頭し、価格競争も進む中、デザイナーの淘汰は加速度的に進んでいる感があります。
この茨の道、生き残るためにはどうしたらよいのか。そんなことを日々つらつらと考えております。
伝統と王道を求めるシェフからのご依頼
話は変わって。
先日、知人を通じてイタリアンのシェフからロゴ制作のご依頼をいただきました。山形県(河北町)のイタリア野菜を使ったお惣菜事業を立ち上げるというプロジェクトの一環です。
シェフのご希望は「伝統的な趣があり、重厚で王道感やクラシック感のあるロゴ」。
知人のご紹介、かつ遠方だったため、オンラインメッセンジャーでのやり取りでスタート。お顔もお声も分からない知らない状態での手探りのヒアリングとなりました。
手探りのヒアリングで右往左往
シェフにお話を伺ったところ、書体や色のイメージに関してはかなり具体的なものがあるものの、肝心のロゴマークに関しては、これ!というイメージが無いようでした。
そこで少しでも手掛かりを得るためにさらにヒアリングを重ね、既に世にあるロゴの中でお好きなものがないかお尋ねしたり、さらにはシェフのお好きな道具やおすすめの野菜についても伺いました。その中で、イタリアの老舗レザーブランドのような紋章風のデザインがお好みだと判明。大きな手がかりを得ました。
ただ、これだけではまだ弱いと思い、シェフの教えてくださったお好きな調理道具やおすすめのお野菜(ローザビアンカやカーヴォロネロ)もモチーフになり得ないか?と検討しました。
ところが、念のため「ローザビアンカをモチーフにするのはどうでしょう?」とお尋ねしたところ、「それはイメージではない」ときっぱり却下されてしまいました。
一度はボツにした案、まさかの採用へ
通常であれば、却下されたモチーフはボツにすると思います。
でも、ローザビアンカのことを教えてくださった際に、シェフが「トマトやチーズと合わせた時の美味しさを伝えたい」と語ったことがとても印象的でした。そしてヒアリングで感じた素材への愛とシェフの誠実なお人柄。さらには「気取らないスタイリッシュさや温もりがほしい」という言葉。
それらがあわさって、どうしても野菜を主体にした繊細で柔らかな方向性のデザイン案もご提案したい・・!という気持ちがむくむく。
ダメ元で、ローザビアンカをモチーフにした、かつ、王道とは言えないデザイン案を、あえて入れることにしました。

複数案の中からシェフが選んだのは——まさかの「ローザビアンカ案」でした。さらに書体も、シェフ指定のものではなく、こちらからご提案したものを採用していただけました。
シェフからのコメント(抜粋) 「茄子がきれいで洗練された印象かつ、親しみやすく、私の中では河北を象徴するイメージがピッタリとハマりました」「当初は王道感など色々申しておりましたが、、 清潔感があり、繊細ながらも親しみやすい安心感のあるデザインで、かほくの野菜から元気がもらえそうです」
デザイナーにできることとは
ご要望をそのまま形にするだけなら、もう生成AIには敵わなくなってきているのかもしれません。
ただ今回のように、「ボツ案をあえて提案する」というような無茶は、それは今のところまだ人間のデザイナーの専売特許なんじゃないかなー、と感じています。クライアントご自身も気づいていないことを探っていけるのが醍醐味なんじゃないでしょうか。
地味ですが、これからもそういうご提案ができれば・・と決意を新たにしたのでありました。




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