Macで安価かつ安全に会計処理を。その未来はどこに?
このブログで、Mac用経理ソフト「林檎経理(RingoKeiriTien)」について記事を書いたのは、もう3年以上前のことなのに、いまだにその記事を参照してくれる人は多いみたいです。
シシデザインでも長らく便利に使わせてもらってますが・・そろそろ本格的に代替案を考えないといけないかな、と思っています。
アシスタントくん頼みになっちゃいますが、2番目の方法かなー。
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【アシスタントのつぶやき:第23回】
個人事業主から見た場合、今のMacには「会計ソフトの決定版」が存在しない。
サーチエンジンで検索すれば「やよいシリーズ」を筆頭とするクラウドアプリが知名度で抜け出ている。
しかし、残念なことに「クラウドアプリ導入のリスク」は「会計システムをクラウド化するメリット」に比肩できないほど大きい。
クラウドアプリにおいては、データやアプリは「どこか」に保存され、セキュリティー確保を含めた機能向上はベンダーの「最大限の努力」によって達成され、サービスの「早期撤退」すら考えられる。
同じスタンスの会計事務所があった場合、貴方は会計業務を委託するだろうか?
年間6,500円位(例:やよいの青色申告)と安価なサービスであることは評価できるが、このリスクを被る個人事業主には「人柱」という言葉すらふさわしい。
話を戻すが、個人事業主からすると、会計ソフトは安価かつ売り切りで、作業やデータ格納は全てオフラインで完結して欲しい筈である。
その結果としてMacでは現在「林檎経理」というフリーウェアがかなり有力な選択肢となるのだが、残念ながら開発者は行方不明で、当然ながらアプリの更新も途絶えている。
このアプリはフリーウェアとしては完成度は高いが、仕様上の不都合も多少ある上に、MacOSにおける野良アプリ(AppStoreで配布していないアプリ)の切り捨て準備が着々と進んでいる現在、Macでこのアプリを使い続けるのは正直不安であろう。
ではどうすれば良いのであろうか・・・コスパを考えると有力な選択肢は以下の2つだろう。
1.Windowsを導入しフリーウェア・シェアウェアを使う(3000円位?)
敢えてMacを選択している人に対してこの提案はちょっと・・・と私も思うのだが、Windows用の会計ソフトはフリーウェアもシェアウェアも潤沢に有り、MacにWindowsがインストールしてあれば選択肢が大幅に増えるのは事実である。
Windowsに詳しくなくても「インストール型のオフラインで動作する会計ソフト」を使うだけならばMacOSと操作は大して違わない。
Windowsは7で十分で、そのライセンスキー(シリアルナンバーみたいのもの)はヤフオク等で安価に購入でき、他にはシェアウェアの課金のコストしかかからない。
もちろんデータのバックアップを取る必要はあるが、会計データはサイズが小さいので特段アプリは必要無い。
2.Excelで処理する(実質無料)
ExcelのマクロはOSに依存しない為、巷で配布されている会計用マクロを使えば、無料で会計作業が出来るのも事実である。
Excelを持っていなくても、大概のマクロは、フリーの表計算ソフトでも動作するので十分代用できる。
もっとも、Excelはあくまで「表計算ソフト」なので「会計用アプリ」に比べれば使い勝手が悪く、フリー配布のマクロは完成度がイマイチな点が問題ではある。
しかし一方で、少しでもExcelやマクロに詳しければ、銀行やカード会社の明細出力を会計データに加工する程度の拡張/改造は容易に出来るので、プログラミングの心得がある人は是非ともこちらに挑戦して成果を還元していただきたい。
今、林檎経理を使っていて、その将来に不安を抱えている、しかしお金はかけたくないというユーザーの選択肢はこの2つだと思われる。
林檎経理は今や「泥舟」である。
申告が終わり次の決算期末まで余裕がある今、検討をオススメする。
フリーランスデザイナーの傾向と対策(最終回)
アシスタントくんによる「傾向と対策」もいよいよ最終回。
(→その1から読む)
暗に、ちゃんと自分で書けよーって諭されているような気分でございます(^_^;
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【アシスタントのつぶやき:第22回】
貴方が「大変な目にあった」後に取るべき行動・・・
それは「後進の人間が同じ目に遭わぬようにそれを書き残す」ことである。
その文章は当面は日の目を見ないだろう。
恐らくは「いいね!」もリツイートもされないし、まとめサイトに引用すらされないだろう。
しかし、ある日途方もないトラブルに遭遇してその解決策を探しているフリーランスの人間が、その文章に行き当たって助かる可能性は十分にある。
貴方が様々なトラブルに遭遇したときに、「まず何をしている」だろうか。
ほぼ間違いなく「とりあえずネットで調べている」はずである。
その際に有用な情報とは何だろうか。
会計やらITの知識はその専門サイトに譲るとして、書籍になり、映像になり、Web上にも点在する「成功したビジネスマンの言葉」よりも、過去のメディアには残らなかった「普通のフリーランサーの言葉」にこそ価値があるはずである。
Webに上がった情報を本人すら消去するのが難しい現代では、逆に言えば無名の個人が一度Webに上げただけの情報がいつか誰かの目に止まり、役に立つ可能性がある。
だから、あなたのブログが全くアクセス数を稼げなかったとしても、記事を書き続けることには十分な意味があるのだ。
(おしまい)
フリーランスデザイナーの傾向と対策(その3)
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【アシスタントのつぶやき:第21回】
さて、前回約束した、私が考える”最善の策”とは。(→その2から読む)
それは、
「フリーランスの人に向けられた言葉を学ぶこと」と、
「過去のフリーランスの人が残した言葉を学ぶこと」である。
あまりにも当たり前で拍子抜けだろうが、これは確実に効率的な王道である。
まず、「フリーランスの人に向けられた言葉を学ぶこと」とは、情報の取捨選択の指標である。
例えばフリーランスのデザイナーが会計知識を得るにあたり、普遍的な会社会計に対応した「簿記」を学ぶのではなく、「フリーランスための青色申告のやり方」を学ぶべきである。
簿記の初歩を学べば、会計原則・手形処理・引当金処理・在庫計上基準・各種評価基準等が理解できる。しかし、フリーランスの青色申告にはほとんど役に立たない。
「青色申告」にポイントを絞ると、必要な知識は「正しい仕訳」と「正しい証跡の保管」のみといえるので、その典型例だけを覚えておけば良い。
(それ以外のパターンに遭遇した時はネットで調べれば解決するし、それ以外の事は会計ソフトがやってくれる)
つぎに、「過去のフリーランスの人が残した言葉を学ぶこと」とは、理論より経験に重きをおいて学ぶことである。
今以上に情報が足りなかった時代のフリーランスは、貴方よりも確実に苦労しているし、現代のフリーランスは貴方と同じ境遇で苦労をしている。
先人や同輩が「何に苦労したか」を知り、それに「どう対峙したか」を知ることが、貴方が将来被るトラブルの数を減らし、トラブルで被る被害を減らすことにつながるのである。
これを踏まえると、貴方が「大変な目にあった」後に取るべき行動も見えてくる。
(最終回へ続く)
フリーランスデザイナーの傾向と対策(その2)
アシスタント君のきまぐれ代行執筆も、なんとか20回目を迎えましたー!
「続きが気になる!」と反響を多くいただいた記事の続編でございます。
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【アシスタントのつぶやき:第20回】
前回、フリーランスのデザイナーは独立するハードルが低く、その結果として、様々な知識が不足しがちで、様々なリスクに疎いことが多い、という話をした。
(→その1から読む)
この「知識が足りない」とか「リスクに疎い」とかという問題は、実はフリーランスとして働き続けることで時間と共に解消するものである。
ただし、通常はリスクが表面化するタイミングで「自分の知識が足りない」ことを自覚する羽目になり、同時に相応のストレスがかかることを覚悟しないといけない。
★例えば「会計の知識」が足りないことを自覚するのは大概、「最初の決算書の提出時期」である。
そしてこの問題を解決するに際して、知識不足・時間不足(申告締切)・証跡不足(領収書の紛失等)という3つの山を超える必要がある。
★例えば「ITの知識」が足りないのを自覚するのは、対処できないIT機器のトラブルが発生した時である。
PCがネットに繋がらなくなった時に「その原因の切り分け」が出来ないと途方に暮れることになるだろう。
「ファイルのバックアップの正しい取り方」を知らなかったことに気づくのは「必要なファイルのバックアップが無かった」時だろう。
★例えば「法律の知識」が足りないことを痛感するのは、契約を交わす時や、契約の不履行が起こった時である。
大きなクライアントと仕事をする場合、事前に「守秘義務等に関する契約書」を交わすのが一般的であるが、契約書においては誤解を招かぬように専門的な用語が多用されるため、契約内容を正確に把握せずに(言い換えれば、何が禁じられて、どういうペナルティーを受けるか分からないままに)契約書にサインせざるを得ない場合がある。
契約の不履行が起こった場合、どういうアクションを取るのが合法的かつ有効か、という問題を真剣に考えるのは、大抵の場合は実際にトラブルに遭遇した時である。
このように具体的事例を挙げればキリがないのだが、では独立に際して何の知識が必要なのかと問われれば、強いて言えば「会計の知識」「ITの知識」「法律の知識」は必須である。
だが、どれくらいの知識が必要か?という問題には残念ながら正解は無い。
これは「地震に備える為にはどれくらいの備蓄が必要か」という問いに答えが無いのと同じである。
以上、長々と書いたが、これでは単に「外野がケチを付けているだけ」なので、次回、最善と私が思う解決策を提示することにする。
(その3へ続く)
「オレのボス ヤフーでググれと 無理を言う」が奥深い!
アシスタントくん、連載の予感だったんですが・・
まさかの脱線記事でございます(笑)
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【アシスタントのつぶやき:第19回】
『オレのボス ヤフーでググれと 無理を言う』
この川柳は、今年のサラリーマン川柳(第一生命が毎年募集)の入選作の中で、突出して面白かった。
どう面白いのか、以下、解釈の違いをグループ分けして説明しよう。
【グループ1】
この川柳のどこが面白いのか分からない:不可(評価対象外)
年配者と話してみれば分かるのだが、「ヤフーって何?」とか「ググれってどういうこと?」という人は結構多いのである。
【グループ2】
ヤフーでググるとかアホな上司で笑える:可(一般人)
この川柳の作者はこの解釈で書いていると推察される。
同様の解釈をして「自分はITに詳しい」と思っている人はちょっと残念。
そういう人に限って、下に記述する知識で混ぜ返されるだけでムッとしがち。
(自己評価が妙に高い人間を刺激したために面倒なことになる典型例)
【グループ3】
Yahooの検索エンジンってGoogleと同じものだから意味は合ってるけどね:良(ITに詳しい人)
検索エンジンのアーキテクチャに注目するとこの答えにならざるを得ない。
まあ、技術者としては普通なのですが、人に面と向かって言うってのははばかられる。
【グループ4】
この川柳のどこが面白いのか分からない:優(ITエンジニア)
なぜならネット上ではだいぶ前からあったギャグだし、英語では普通に「ヤフーでググる」って表現するからです。
実際Google(会社)は”Google”という動詞が「情報検索をすること」という言う意味で一般動詞化してるのを懸念して、「”Google”以外で検索することを”Google”って言うのは誤用なので避けてほしい」と声明を出しているくらいですから・・・
さて、では私自身の評価はというと(自己評価はあてにならないですが・・・)、
ここまで列挙したすべての解釈を瞬時に思いつき、その挙句、「選者は全部分かった上で色々な層が楽しめる川柳を敢えて選んだ物凄い切れ者かも」と思った単なる陰謀論者です。