2023/04/22

CMSにMovableType.netを選ぶメリット/デメリット

ずいぶんと昔の記事になりますが、「グーペ(Goope)」と「Jimdo」を独断と偏見で比較した記事を執筆しました。当時は、当工房でのホームページ制作がこの2つをメインにしていたためですが、同じくサーバー不要のCMSである「MovableType.net(ムーバブルタイプ ドットネットと読みます)」の案件もじわじわと増えてきましたので、新たな比較記事を書いてみることにします。

「WordPress」との比較は多々あれど、こんなマニアックな比較は珍しいかと・・笑。

世に出回っているCMSは他にもたくさんありますので、選定の際の参考にしていただいても良いと思います!(重きをおくポイントが見えてくると、選びやすいと思いますよ〜)

今回も、独断と偏見が満載ですのでご了承ください!
(グーペとJimdoについての比較記事はこちら↓をご覧ください)

 グーペJimdoMovableType.net
カスタマイズ性
維持費
容量
ページ内コンテンツの上限
拡張性(階層)
ページ編集の容易さ
お知らせの更新機能
ブログ
メールフォーム
メールアドレス×
メルマガ×
アップロードできるファイルの種類
サイトマップ自動生成
アクセス解析
工事中(非公開)設定
サブドメイン
副管理者×
SSL暗号化
バックアップ××
【その他】
サイト内検索

カスタムフィールド機能
差し替え・予約機能

共有プレビュー機能
ステージング機能
会員機能
など
××

カスタマイズ性

グーペ:○ Jimdo:○ MovableType.net:◎

MovableType.netの特徴の一つが、カスタマイズ性の高さにあると思います。HTMLやCSSの自由な記述はもちろん、JavaScriptなども制限無く使用できます

グーペやJimdoでは、HTMLとCSSを記述できるエリアはそれぞれ1つずつですが、MovableType.netでは例えば「ヘッダー部分」や「フッター部分」などのパーツに分けて利用することができるので、管理もしやすくなっています。

また、ページごとに異なるデザインにすることも可能です!

維持費

グーペ:△ Jimdo:○ MovableType.net:△

MovableType.netには無料プランはありませんが、最安プランの場合で月額2,292円から利用できます。他の2つに比べるとやや高い印象ですが、その分、自由度が高い(もちろんサーバは不要)、テクニカルサポートが付いている、ということを考えると決して高い金額ではないと思います。

容量

グーペ:○ Jimdo:○ MovableType.net:○

MovableType.netでは、最安のライトプランでも5GBの容量があります。これはグーペのライトプランやJimdoのProプランと同格ですね。

ページ内コンテンツの上限

きちんと調べたことはありませんが、前述の容量内であれば上限は無いと思われます。

拡張性(階層)

グーペ:△ Jimdo:○ MovableType.net:◎

Movablyetype.netでは、なんと6階層まで作ることができます!さすがに6階層まであるサイトはまだ構築したことがありませんが、拡張性の高さはピカイチですね。

ページ編集の容易さ

グーペ:△ Jimdo:◎ MovableType.net:◎

MovableType.netでは、通常の入力エディタの他に、標準でブロックエディタも装備されています。

最近、「ひな形」を作成する機能も付きましたので、フォーマットの決まった記事やページを書く際には、とても便利だと思います。

お知らせの更新機能

グーペ:◎ Jimdo:△ MovableType.net:◎

もちろん可能です。また、新しい記事には「NEWアイコン」を付ける、というようなこともできます。

ブログ

グーペ:△ Jimdo:△ MovableType.net:○

そもそも、MovableType.netの母体であるMovable Typeが、ブログを手軽に構築するためのブログツールとして開発されたものですので、Movabletye.netもブログ機能は強みであると言えます。

MovableType.netでは、最安のライトプランであっても、ブログを5つ内包できるので、ブログは作りたい放題です。

ただし、いわゆる「ブログ」とは異なる点もあります。例えば、各記事に対して「コメント」を投稿することができません。人気の記事をピックアップしたり、投稿カレンダーを表示することもできません。あくまで記事の投稿と、その記事が月(年)別やカテゴリ別にアーカイブされるという機能があるくらいにお考えください。

メールフォーム

グーペ:△ Jimdo:◎ MovableType.net:○

MovableType.netにおける最安のライトプランでは設置できるフォーム数は1つだけですが、スダンダードプランでは10個のフォームを生成することができます。

そしてこのフォームがなかなか秀逸!選択項目に応じて表示のコントロールができたり(項目の条件分岐)、フォームの送信先を変更できたりするのです。(いずれもスタンダードプラン以上)

メールアドレス

グーペ:◎ Jimdo:○ MovableType.net:×

メールアドレスに関しては、他の2つに軍配が上がりそうです。

MovableType.netにはメールサーバーがないからです。ドメイン付きのメールアドレスが必要な場合は、別途メールサーバーを用意する必要があります。

メールマガジン(メルマガ)

グーペ:◎ Jimdo:× MovableType.net:○

MovableType.netには会員機能があるので、会員に向けてのメール配信がメルマガに相当する機能になると思います。

アップロードできるファイルの種類

グーペ:△ Jimdo:◎ MovableType.net:◎

MovableType.netでは、ファイルマネージャが使えます。残念ながらFTPまではできないのですが、フォルダを作ることも可能なので、ファイルがとても管理しやすいです。

アップロード可能なファイルの種類は問いませんが、1ファイルあたり30MBとなります。

サイトマップ自動生成

グーペ:△ Jimdo:◎ MovableType.net:○

他の2つと同様に、MovableType.netでも、検索エンジン用のXMLサイトマップは自動生成されます。

ユーザのためのサイトマップも、一工夫すれば自動生成させることも可能です。

アクセス解析

グーペ:○ Jimdo:○ MovableType.net:△

MobableType.net自体にはアクセス解析の機能は付随していないので、手動でコードを埋め込む必要があります。

工事中(非公開)設定

グーペ:○ Jimdo:○ MovableType.net:○

MovableType.netでは、サイト全体(もしくはブログ単位)で公開/非公開の設定ができます

また、Basic認証とパスワード認証のいずれかを選択することができます。

ただし、ページ単位での公開/非公開の設定はできません。(「下書き」にすることで、共有プレビューは可能となります)

サブドメイン

グーペ:○ Jimdo:○ MovableType.net:○

Movabletye.netでもサブドメインでの運用は可能です。またURL(パス名)も自由に設定できます

副管理者

グーペ:○ Jimdo:× MovableType.net:◎

MovableType.netでは、ユーザ別にアカウントを作ることができ、アカウントそれぞれに細かく権限を割り振ることができるので、複数名で運用する場合にも安心ですね。

バックアップ

グーペ:△ Jimdo:× MovableType.net:◎

ホームページ全体のバックアップはスタンダードプラン以上で利用可能、復元は全プランで利用可能です。

また、個別の記事やページは、どのプランであっても保存するたびに自動で履歴が残るので、いつでも過去の状態に戻すことができます。変更箇所を比較することもできて、とても便利です。

MovableType.netならではのメリット

ここからは、先の2つの比較をしたときには無かった項目についてご紹介します。

サイト内検索

グーペ:△ Jimdo:△ MovableType.net:◎

グーペやJimdoでサイト内検索を設置したい場合には、Googleが提供しているカスタム検索エンジンを利用する必要があります。(JimdoのBusinessプランであればサイトサーチ機能が使えるようです)

MovableType.netであれば、自前でサイト内検索を設置することができます。

カスタムフィールドの生成機能

グーペ:× Jimdo:× MovableType.net:◎

カスタムフィールドとは、独自の入力項目を追加できる機能です。

通常、ページや記事を新規で作成する場合、「タイトル」と「本文」の項目しかありませんが、カスタムフィールドを活用すると、タイトルや本文以外に、任意の入力項目を作ることができます。

グーペユーザーならピンとくるかもしれませんが、例えばメニューページを作るときには「価格」の入力欄や「画像」の投稿欄があると思います。あらかじめ決められた場所に入力すると、整ったレイアウトでページを作ってくれるというものです。このように項目を自由に作って、かつその項目をどこにどのように見せるかをカスタマイズできる機能なのです。

もちろん、本文の中に全部詰め込んでもいいのですが、毎回レイアウトを整えるのは意外と大変ですよね。

差し替え・予約機能

グーペ:× Jimdo:× MovableType.net:◎

ホームページは、作ってからが重要と言われます。更新する、こまめにアップデートするときに便利なのが、この「差し替え版」という機能です。公開中のページの修正版を作成できるので、現行のホームページに影響なく、水面下で修正版を作ることができるというわけです。

さらに、修正ページの差し替えは、即時差し替えの他に「予約」もできます。予約機能を使えば、日付が変わるタイミングでページを差し替えることができるのです。これは便利ですね!

共有プレビュー

グーペ:× Jimdo:× MovableType.net:◎

「共有プレビュー」機能も、ホームページのメンテナンスを柔軟に行える便利な機能です。新しい記事を書いたり、ページを修正したりしたあとに、メンバー間で確認が必要なこともありますよね。

そんな場合に「共有プレビュー」を使えば、ページの修正を反映した状態を、複数のメンバーで確認することができるのです。

公開前に複数人でチェックすれば、運用も安全に行えますよね。

ステージング機能

グーペ:× Jimdo:× MovableType.net:◎

サイトリニューアル時に便利なのが「ステージング」機能です。スタンダードプラン以上で利用可能ですが、この一点だけでもスタンダードプランを選ぶメリットがあると思います!

公開中のサイトとまったく同じサイトを複製できて(開発用環境)、公開サイトに影響することなく変更作業や確認を行うことができるのです。

リニューアルなどの大掛かりな変更でなくても、「CSSをちょっと差し替えたい」「このスクリプトを入れたらどうなるか確認したみたい」などという軽い変更も安全に気軽に試すことができるのでとても重宝します。

その他

その他にも、「会員」機能や「検索/置換」機能など、多様なニーズに応えてくれます。

脆弱性対策などセキュリティ対策を含むアップデートも、すべてサービス提供側(シックス・アパート社)にお任せできるので、常に最新の環境に保つことができます。またプラグインに振り回されることもありませんメンテナンスが不要で、セキュリティ上の心配がないというのは、かなり大きな安心材料だと思います!

さらに日々進化し続けていて、どんどん使いやすく便利な機能が増えているので、可能性は無限大!(つい最近も「ChatGPT」のAPIを利用した「タイトル提案機能(β版)」がいち早く導入されました)


以上、MovableType.netについて、主にメリットに重きをおいて解説してきました。グーペやJimdoでは物足りない、あるいは、もっと踏み込んだサイトを作りたい、という方にオススメのサービスだと思います。

が、強いてデメリットを挙げるとするならば、「初心者向けではない」ということでしょうか・・。先の2つのサービスは「専門的な知識がなくても、簡単にホームページが作成できる」とご紹介しましたが、MovableType.netの場合は、ホームページを完成させるまでに、ある程度の知識が必要となります。

CMSなので、完成後の更新はご自身で楽々できるという点は他の2つと同様なのですが、立ち上げまでは制作会社のお手伝いが必須、という印象です。

将来的に拡張性が必要、複数の人が運用に携わる、カテゴリー分けをしたいコンテンツがある、サイト公開後も柔軟にメンテナンスをしたい・・という場合には、一考に値するでしょう。

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